日本の年金受給者が亡くなった場合の遺族年金 ~将来の請求手続きのためにしておくこと

海外居住者でも以前日本で公的年金(厚生年金、国民年金、共済年金など)に加入していれば老齢・退職年金を受給できますが、その受給者が死亡すると、残された遺族が遺族年金も受給できる場合があります。ただ遺族年金の請求手続は老齢年金の請求に比べると提出書類がやや複雑で、受給権があったとしても書類が揃わずに受給できなかったというケースがあります。そこで今回は遺族年金請求のため、今のうちからできることを紹介します。

1.遺族年金の概要

遺族年金は被保険者(働いて保険料を支払いまだ年金を受給していない人)、または年金受給者が死亡した場合、遺族に支給されます。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、遺族基礎年金は18歳未満の子がいる場合にのみ、一方遺族厚生年金は配偶者または18歳未満の子がいる場合に支給されます。(配偶者、子がいなければ父母、孫、祖父母も遺族になる場合あり)

年金額ですが、遺族基礎年金が年間約78万円、遺族厚生年金は死亡者が受給していた(受給する予定だった)老齢厚生年金の3/4に相当する金額となります。

2.請求手続き

請求手続きは、被保険者(年金加入者本人)または年金受給者が死亡した後に行ないます。手続きは日豪社会保障協定により豪州の年金事務所の窓口でもできますが、担当者が日本の年金についての知識がなくスムーズに進まないかもしれません。できれば来日の機会があればその際に最寄りの年金事務所で行うか、日本に住む親族または代理人にお願いすることをお勧めします。

3.提出書類と注意点

以下は最低限必要な提出書類になります。この他にも死亡者、請求者(遺族)の状況によって追加で必要となる書類もあります。

①遺族年金請求書(年金事務所にあり。またはインターネットからダウンロード可能)

②請求者の在留証明書(外国籍の場合はNotary発行のものでも可)

③配偶者、子であったことの証明書(日本国籍なら戸籍謄本、外国籍なら結婚証明書など)

④死亡者と請求者が生計同一(同居)であったことが確認できる書類

⑤請求者(遺族)の収入が確認できる書類のコピー

 (確定申告書など。子が高校生以下の場合は不要だが学生証のコピーが必要)

⑥死亡診断書コピー

⑦年金振込先金融機関の通帳コピー(小切手、銀行のステートメントのコピーも可)

海外在住者の場合、上記書類の中でも④について苦労されているようです。日本在住者の場合は住民票を提出することで生計同一と見なされるのですが、海外在住者の場合は住民票の代わりに提出する③在留証明書だけでは不十分なためです。具体的にどういった書類でよいのか直接年金事務所へ確認するのがお勧めです。

また老齢年金の受給資格要件はもともと年金加入期間25年でしたが、2017年8月に10年に短縮されました。しかし遺族年金については従来通り25年のままとなります。(豪州在住者は日豪年金通算(Age Pension)で25年が必要。)

4.今のうちから準備しておくこと

たとえば重い病気で医師から余命宣告を受けているような場合であれば、残された遺族に財産を含め年金の情報も事前に伝えておく事ができますが、そうでない場合、不慮の事故による死亡というケースも想定されます。したがい早い時期に家族に次のことを伝えておきましょう。

・   自分が年金の被保険者または年金の受給者であること。また自分が死亡した場合は、残された家族が遺族年金を受給できるということ。(事前に確認する必要あり)

・   遺族年金の請求時の連絡先(日本年金機構、共済組合など)

・   手続時に必要となる書類についての入手方法など。たとえば戸籍謄本であれば本籍地のある日本の市町村役場への請求方法。また年金に関する書類や毎年の確定申告書であれば過去の分も廃棄せずにまとめて所定の場所へ保管しておきます。

いかがでしょうか?手続きが難しい場合は、専門業者(日本の社会保険労務士)を探して代行請求することもできます。尚弊社では日本語を話さない遺族のため英語での対応も致します。