海外在住者でも加入できる「国民年金任意加入」をご存知ですか? しくみと注意点

●長生きリスクにおける年金の重要性

日本は世界で一、二を争う長寿国です。厚生労働省の2019年の発表によれば平均寿命は男性で81歳、女性で87歳です。これは平均値ですからこの年齢より前に亡くなる人もいれば、この年齢を過ぎての生存者数も多数いるわけです。こうした中、日本では最近「人生100年時代」と言われ「長生きリスク」がメディアで多く取り上げられています。長生きリスクとは、長生きすることでその分お金がかかってしまい経済的に困窮してしまうことを意味しています。一部の人を除き、高齢となれば働くことが難しくなるので収入を得ることができません。したがいある程度の資産をお持ちの人でなければ長生きリスクを避けることができません。

そこで頼りになるのが公的年金です。年金は生涯(死ぬまで)支給されますので長生きリスクへの対応には不可欠です。年金というと最近財源不足により徐々に減額され十分な額ではないなどと批判もでていますが、それでも国によって保証され確実に受給できる年金は老後の生活の生命線といっても過言ではありません。

●海外在住者も国民年金に加入できる

このように公的年金制度は長生きリスクへの備えとしては大変重要な役割を担っています。そこで今回は日本国外で暮らす海外在住者が日本の年金に加入する場合に知っておくべき点を紹介します。

公的年金は多くの国で制度化されています。オーストラリアの年金ではAge PensionとSuperannuationから構成されますが、居住者全員が加入、保険料(税金)の納付義務を負っていることからAge Pensionが公的年金としての性格が強いのではないでしょうか。

ここでオーストラリア在住の日本人はオーストラリアの年金に加入していても並行して日本の国民年金に加入することができます。毎月の国民年金保険料を納付することで、その分の年金を老後に日本で受給できる制度で、国民年金の「任意加入制度」といいます。

国民年金は20歳から60歳までのすべての日本国内居住者に加入が義務付けられていますが(サラリーマン、公務員は就労先企業・団体経由で厚生年金(国民年金を含む)に自動的に加入)、海外居住者の場合は国外居住であることから加入は義務付けられていません。その一方で20歳から65歳までの間、任意で加入することができます。ただし国籍が日本のままである必要があり、外国籍を取得すると任意加入することはできません。また老後に受給するためにはオーストラリア居住期間と任意加入期間の合計が10年以上である必要があります。

●任意加入手続きと注意点~「任意の申立てをしていない」「日本に住民票を残している」場合、無効になる可能性も

海外在住者の国民年金への加入手続ですが、海外へ移住する際にその旨年金事務所へ届け出て通常の国民年金加入者(「第1号被保険者」といいます)から「任意加入被保険者」への変更手続が必要です。特に海外移住する前に日本で国民年金保険料を支払っていた人の中には、そのまま継続して保険料を払えば問題ないだろうと判断して年金事務所へ海外移住することを届出ない人がいます。この場合海外移住後に支払った保険料が無効となる可能性があります。そうなると移住後に支払った保険料はそのまま還付されますが、老後の年金の原資にはなりません。

また「だったら海外移住後も日本に住民票を残しておけば、日本在住扱いのままなので問題ないのでは」と考える人も出てくるかもしれませんが、この場合も後で海外在住である事が判明するとさかのぼって外国居住扱いになり、同様にその分の保険料が無効となる可能性があります。

●該当するケースの人は一度ご確認を

私どものお客様の中にもこうしたケースに該当し、これまで何年も日本で国民年金保険料を払い続けていたのに無効になってしまった人が何名かいらっしゃいます。本来はこうした制度上のルールを年金事務所が年金加入者にわかるようきちんと案内すべきものなのですが、実際ほとんどの人がこのことを知りません。もし該当する人がいらっしゃれば一度ご確認してみて下さい。そして万が一任意加入被保険者になっていなければ、今からでも遅くはないので届出することをお勧めします。