老後に日本へ帰国した時の家探し

 豪州はじめ海外で長年暮らしていた人が老後は故郷の日本で暮らすというケースが増えているようです。私どももそうした人たちのお手伝いをしていますが、年々その数は増えています。そうした人たちの主な関心事として、お金(日本での生活費)、家、医療保険などがあげられます。そこで今回は日本での住居探しについて紹介致します。
 日本へ帰国するとなれば住む家を確保しなければなりません。既に住居を保有していれば帰国後そのまま住むことができますが、そうでなければ新たに探す必要があります。
 帰国後の住居の入手方法については一般的に下記に分類されます。

探す必要なし→  ①既にある(持家、借家、実家、等)

新たに探す  →   ②借りる(民間の物件、国・自治体運営の物件)
        ③購入する(現金購入、住宅ローン)
        ④一時的に借りる(マンスリーマンション、親族知人宅)
        ⑤高齢者施設に入居する(介護施設、有料老人ホーム、等)

「①既にある」ケース
 以前日本で家を購入した、親の家を相続したなどの理由で既に家がある、または実家や親族の家での同居が可能なケースです。帰国後すぐに住めますので新たに探す必要はありません。

「②借りる」ケース
 住居を購入する資金が無くても利用できるのが賃貸住宅です。入居時の資格要件を満たし、入居一時金(敷金、礼金、仲介料など)を支払えば月額家賃で住むことができます。海外からの帰国者についても資格要件を満たしていれば入居可能ですが、最近高齢者(60才以上、特に独身者)の契約が難しくなってきています。これは近年の高齢化社会において発生している孤立死の問題が深く影響しています。特に民間の不動産会社で扱っている物件においては、オーナー(家主)が孤立死事故を敬遠する傾向があり高齢者との契約に消極的です。たとえ所得が十分あってもこの状況は変わりません。また保証人がいる場合、契約を認めてくれるオーナーもいますが決して多くはありません。一方国や地方自治体が運営する賃貸住宅(公団、県営、UR住宅など)については年齢制限額、高齢者でも入居可能です。詳しくはまた別の機会に紹介致します。

 「③購入する」ケース
 購入に際しては物件探しから契約までの一連の手続に時間がかかります。日本へ帰国する前から動き出す必要があります。少なくとも1回は事前に来日して候補物件の見学、不動産業者との打合せを行なうようにしましょう。海外居住者は不動産売買契約締結や新築物件の抽選応募手続時の書類が日本国内居住者と異なる場合があるので、その辺も不動産業者と十分に確認する必要があります。
 購入時の支払い方法ですが、まとまった資金があって一括購入できれよいですが、銀行などの融資を利用する場合、長期の返済計画が求められますので就労などによる定期的な収入がないと利用できません。数年内にリタイヤする予定だったり、既にリタイヤしている中高齢者が融資を利用するのは難しい状況です。
 また購入時には物件価格の他に諸経費がかかります。日本では登録免許税、不動産取得税、固定資産税、売買契約のための印紙税などがかかりますが、目安として物件価格の3~5%程度とお考え下さい。この他にも契約書作成について司法書士に依頼すればその報酬、住宅ローンを利用する場合は金融機関への融資手数料、保証料、さらには購入後の維持費として火災保険料、マンションであれば修繕積立基金、管理費などがかかります。

「④一時的に借りる」ケース
 新たに家を購入したり賃貸住宅の入居までの一時的な仮住まいが目的となります。親族や知人宅が一時的にでも利用できればよいですが、頼める親族、知人がいない場合短期間であれば比較的安価なビジネスホテル、数週間~数か月の機関であればマンスリー(またはウィークリー)マンションが利用可能です。マンスリーマンションは各地に物件があり、生活に必要な最低限の家具も揃っていてすぐに利用できる手軽さはありますが、入居にあたっては家族・親族による保証人が必要というところが多いです。

「⑤高齢者施設に入居する」ケース
 各種の施設がありますが、大別すると日本の公的介護保険制度において運営されるものと、認可を受けた民間会社が運営する高齢者専用住宅があります。前者の代表的なものとして「特別養護老人ホーム(特養)」があります。介護保険制度において運営される公的施設なので加齢や疾病により介護が必要な状況でないと(介護認定を受けないと)入居できません。また公的施設ということで入居費が安い分入居希望者が多く、すぐには入居できず順番待ちとなるケースもあるようです。
 後者の代表的なものとして「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者住宅」があります。国から認可を受けた民間企業が運営する施設で、介護サービスの内容も必要最低限のものから充実したものまで幅広く提供されており、自分にあったサービスを受けられる施設を選んで入居します。前者の公的施設に比べると入居費は高くなります。

「保証人」について
 不動産を賃貸する場合はもとより、マンスリーマンションや高齢者施設に入居する場合も(日本に居住する)保証人や連絡先となる親族、知人が原則必要です。依頼できる親族、知人がいない場合民間の保証(代行)会社があるので利用可能です。利用に際しては毎月一定の手数料が発生します。保証会社はインターネットで探すことはできますが、中には良心的でない業者もいますのでお勧めは自治体(市町村町役場)の高齢者窓口にすることです。保証会社のことだけでなく社会保障制度や生活面全般の相談にのってくれます。